大判例

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東京高等裁判所 昭和29年(ネ)122号 判決

原判決主文第一項及び第二項中建物の所有権移転登記手続を命じた部分を左記第三項記載の如く変更する。

控訴人三田点伊は被控訴人に対し別紙目録<省略>記載の建物につき所有権移転登記手続をなすべし。

控訴費用は控訴人等の負担とする。

二、事  実

控訴人等訴訟代理人は「原判決を取消す。被控訴人の請求はいずれも棄却する。訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。」との判決を求め、被控訴人訴訟代理人は控訴棄却の判決を求めると共に、請求の趣旨中建物の所有権移転登記手続を求める部分につき、従前の請求を第一次に主文第三項記載の如く変更し、従前の請求を予備的請求として維持する旨を附陳した。

当事者双方の事実上の陳述並びに証拠の提出、認否、援用は、被控訴人訴訟代理人において「民法第四百二十三条による債権者代位権行使の方法として、債権者は第三債務者に対しその債務者に対する給付を直接自己になすべきことを求め得るものと、解すべきであるから、請求の趣旨を前掲の如く変更する次第である。」と法律上の見解を補陳した外は、いずれも原判決事実摘示と同一であるから、これをここに引用する。

三、理  由

控訴人三田点伊の所有であつた被控訴人主張の建物につき、(一)昭和二十五年六月頃同控訴人と控訴人曹成浩との間に売買契約が成立し、(二)右売買代金額が金八万円で当時支払が完了していたこと、(三)昭和二十六年三月三十日被控訴人と控訴人曹との間に同建物について被控訴人主張のような売買契約が成立し代金の決済が行われたこと、(四)控訴人曹、同五十嵐主張の買戻に関する抗弁事実の肯認し難いこと。以上の諸点に関する当裁判所の事実の認定並びに法律上の判断は、原判決理由の説示(記録第一七五丁表三行目以下第一七六丁裏六行目まで、原判決理由一、ないし四、)と同一であるから、これをここに引用する。

次に前記建物については、現在控訴人三田の所有名義で登記されたままとなつていることは、当事者間に争がないところ、被控訴人は控訴人曹に対し前示同人との間の売買契約に基き、前記建物の所有権移転登記手続とその引渡を求める請求権があり、この移転登記請求権を保全するため、控訴人曹が控訴人三田に対して前示同人等の間の売買契約に基いて有する同建物の所有権移転登記請求権を代位行使し得ることは勿論である。そして右の如き法律関係の下においては、被控訴人はこれが代位権行使の方法として控訴人三田に対し、直接自己に右建物の所有権移転登記手続を請求することを妨げないものと解すべく、この点に関する被控訴人の第一次の請求は正当である。

控訴人五十嵐が前記本件建物に居住してこれを占有していることは、同控訴人の争わないところであり、右占有権原につき特段の主張立証のない本件にあつては、被控訴人の同建物に対する所有権を侵害しているものと認めるの外なく、尤も被控訴人の右所有権取得については未だその登記を経由していないが、不法占拠者たる同控訴人は右登記の欠缺を主張するにつき正当の利益を有する第三者に該当しないから、同控訴人は被控訴人に対しこれが明渡の義務あることは当然である。

以上の説示によつて明らかな如く、被控訴人の控訴人等に対する本訴各請求はすべて正当としてこれを認容すべく、本件各控訴は理由がないからいずれもこれを棄却すべきであるが、被控訴人は当審において建物所有権移転登記手続を求める部分につき、第一次の請求として主文第三項記載の如く請求の趣旨を変更したのであるから、原判決主文の一部を本判決主文第二、三項記載の如く変更すべきものとし、控訴費用の負担につき民事訴訟法第八十九条第九十三条第九十五条を適用して主文のとおり判決する。

(裁判官 斎藤直一 菅野次郎 坂本謁夫)

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